高校国語教室

共通テスト攻略の準備(共通事項)


目次


1.共通テスト国語攻略に必要な力


いきなりですが、共通テスト国語で高得点を取ろうとする皆さんに質問です。
共通テスト国語で高得点を取るために何が必要だと思いますか?

よく出る答え「読解力」もちろん違います。

また、学校で生徒が先生に同じ質問をして返ってくる答えは
「焦らずに、しっかり正確に読むこと。」

ありきたりな答えすぎて「は?」って感じです。
ちなみに、こんな質問をする生徒は問題をしっかりと読んでいるはずです。

では何が必要か、それは 「間違い探し」「検索力」です。

1.1 「間違い探し」

これは共通テスト国語の問題形式を見てもらえれば分かります。
複数の選択肢から正解を一つ見つけますよね?

正解と不正解の選択肢の違いは何ですか?

そこがしっかりと分からないと間違いを選んでしまうのです。 だから、必要なのは「間違い探し」なのです。
では、正しい選択肢と誤った選択肢の違いをどうやって見つけましょうか?

コツは見るポイントを絞ることです。

例えば一卵性の双子のお友達をイメージしてください。交互に3秒ずつ見て、違いを言いなさいと言われれば、一卵性の双子だと見分けがつきませんよね?
しかし、見るポイントを絞ってみるとどうでしょう。例えば、“目”に注目してまた交互に見てください。
すると、姉の方は一重だな、妹は二重だな、と一見そっくりな双子でも明らかな違いが見えてきます。

共通テスト国語の選択肢もこれと同じなのです。
何年度分か過去問を引っ張ってきてみてください。解かなくて結構ですので、選択肢を見てください。
すると、各問題、選択肢の構成、字数までもがほぼ一緒ではないですか?
共通テストを始めとしたマーク型の問題を作る時、問題作成者はパッと見では見分けがつかないようなそっくりな選択肢を作ります。字数をそろえ、文頭の語句も同じようにそろえ、微妙に言葉を変えていくんです。
もちろん、ニセモノも文章を間違えて読むと勘違いしそうな候補の中から選択肢をつくります。

だから、そっくりなものの中からそれぞれの違いを見つける 「間違い探し」が重要になるのです。
この間違い探しを「選択肢の吟味」といいます。
無意識のうちに選択肢の違いに気づけるようになれば8割得点まであと少しです。

1.2 「検索力」

これはいわば、“ウォーリーを探せ”みたいなもの。先ほどの間違い探しで、選択肢の違いがわかれば、もう半分以上解けたようなもの。本文の中から解答の根拠になる部分を見つけ出しましょう。そこに、書いてある文と同じことが書かれた選択肢を見比べるのです。すると、同じことが書かれた選択肢が分かります。

大問の最初に「次の文章を読んで後の問いに答えなさい。」とありますよね?
これは、あなたの意見や経験は不要!とにかく文章を読んで分かったことを指示に従って忠実に答えなさい。という意味。

最初はとにかく慣れるまでは、選択肢で聞かれていることが本文のどこに書いてあるのか、本文に書いてある部分に線を引っ張ってみる練習をしていきましょう。



2.高得点を取るための準備


2.1 解く順番を決める

もちろん何も考えずに第1問から順番に解いていってはいけません。理由があれば別ですが、基本的には自分の得点源になっているものを最初に、そして、苦手な大問を最後に持っていきましょう。

共通テストの国語は難易度の勝負というよりは時間との勝負というべきかもしれません。
ほとんどの人が時間ギリギリ、もしくは時間が足りないでしょうから、時間が余っていつも余裕があるという子は本当にごく一部だと思います。

だからこそ、得点源は最初に解く。なかなか得点につながっていない問題は最後に回すようにするのです。そうすると、タイムオーバーになったとしても、普段点数が取れていない問題であれば、そこで、大きく失点をしてしまうというようなことは減るわけです。

ちなみに、私の場合は第3問(古典)→第4問(漢文)→第1問(評論)→第2(小説)の順に解いていました。



2.2 時間配分を決める

大問ごとの時間配分を決めましょう。一般的に言われるのは、各大問20分で解くということ。ただ、実際にやってみるとなかなかうまくいきません。どうしても1分~2分足りなくなるのです。
それはそうですよね。表論文や小説、古文、漢文では、文量も全く違うのと、人によって得意不得意はどうしてもあるので、読むのにそもそも時間がかかったりするもの。

そこで、自分で決めた解き方の流れのうち、「最初の大問2つを、合わせて○○分以内に解く」と制限時間を設けること。
そしてさらに、最初の大問2つにかける時間は、後半の2つの大問にかける時間よりも短くできないか、をとにかく意識して取り組んでいきましょう。


私の例で説明すると、私は前半に古文・漢文を合わせて30分で解き、後半、評論・小説に50分時間を割きました。私は古典が得意で、難なく読めて、解けていたのですが、どうしても古典と比べると、現代文は時間がかかってしまっていました。
そこで、古典の時間を縮める練習をして、時間を縮め、余った時間を現代文に付加できるようにし、現代文を克服していきました。

実際にこれまでの受験生の例では、現代文の方でなんとか時間に余裕を作ることができる子もいました。小説を15分ほどで解き上げ、評論を20分で解いていました。


2.3 選択肢の見方

選択肢のを見る際にも高得点を取るポイントがあります。
それは選択肢を横に見ることです。 上段の1.1間違い探しがポイントなのですが、選択肢というものはどれもそっくりそのままできています。選択肢を縦に読んだだけでは、いまいち違いは気づけません。
だからこそ、違いを際立たせるために横に読むのです。これは、論より証拠、実際に過去問の選択肢を見てみましょう。

選択肢
これは、2003年センター本試験の古文の選択肢から持ってきました。
小説や評論、漢文でも同様にできますが、私がたまたま引っ張ってきたものが古文だったというだけです。
気になる方は、過去問を見てみてください。

話を戻します。
同じ色の四角で囲ったところは、横で比較した際に、対応する箇所です。
このように、横に比べてみると、違いがはっきりしませんか?
選択肢はこうやってみていくのです。
下の述語の部分を中心に見ていくだけでも、ある程度選択肢が絞られるので、スピーディーに選択肢が切れると思います。
このように、少しでも時間短縮を図り、尚且つ、正確に判断していくのです。

2.4 判断不可語

「判断不可語」という言葉を聞いたことがありますか?
「判断不可語」とは、選択肢の中、もしくは文章に直接表現されていない限りはこちら(読み手)には判断できない語です。

実際に、考えてみましょうか。
「3人兄弟、もしくは3人姉妹というのを聞いてこれを多いと思いますか?」

ここでいう、「多い」「少ない」という言葉が判断不可語になるのです。
だって、一人っ子からしたら3人兄弟は多いと思うでしょうが、5人兄弟の子からしたら、多いなとは思わないはずです。
人によって感じ方・受け取り方が変わるような言葉を判断不可語というのです。

共通テストは55万人が受験しますから、ある人にとっては有利である人にとっては不利になるというような問題は作ることができません。

もっと実践的な選択肢で見てみましょうか。
「この文章では、比喩表現を多用することにより、登場人物の様子を具体的に分かりやすく、イメージできるような工夫がされている。」こういう選択肢があったときにどう思いますか?

ちなみに、文章中から「比喩」を探してみると、3つあったとしましょう。

ここで、「3つ」って多いですか?
もうわかりますね。答えは「判断できない」です。

こういう選択肢を積極的に選ぶことは辞めましょう。消去法で残った際は仕方ないですが。

あと、選択肢の事で言うと、強い否定や強い限定を表す言葉が入っている選択肢が答えになることはほとんどありません。

国語の問題を作る以上、そして受験者が55万人いることから、答えがグレーになる問題を作ることができないのです。

強い否定や強い限定が出た際には、完全に“0 or 100”の選択になりますから、例外を許さなくなるのです。いくら評論文でも数学ではないので、完全に”0 or 100”に言い切る文章は書きにくいのです。