小説読解のコツ
1.小説の構造
小説とはそもそもどういうものかを考えましょう。小説では、必ず何か“事件”がおこります。 その事件となる出来事を中心に登場人物の心情・行動がどのように変化したかをしっかりととらえる力を問うているのが小説 です。
小説が苦手な人、なぜ小説が解けないのか、そもそも小説は評論文と違って何が問われているのかを考えましょう。もうわかったはずです。上記の通り、 心情をいかに把握できるか、これが攻略のポイント です。
2.心情把握
そもそも小説の問題は
・状況把握に関する問題
・登場人物の心情に関する問題
・登場人物の行動に関する問題
・登場人物の人物像に関する問題
こういった問題がメインになってきます。
これを見ると分かるように、 心情に絡む問題が多くなっています。 行動はその人の気持ちに何かしらの変化が起きたから起こすわけですし、人物像はその人の心情、考え方(思考)から見えてくるものなのです。
これが分かると、じゃあ心情表現を探すんだね、となると思いますので、実際に考えてみましょう。
たとえば、 「泣く」 という言葉。
これは心情を表す表現として使えると思いますか?
ほとんど人は 「泣いている=悲しんでるんだ!」と思うと思いますが、答えはNO です。
なぜばら、「泣く」という言葉に「うれし泣き・悲し泣き・笑い泣き」といった複数の心情(気持ち)があるので、「泣く」という言葉のみでは心情は分かりません。 心情は動作を表わす動詞(上記例は名詞)だけでは不十分で、「嬉しい・悲しい・楽しい」といった形容詞でしか表すことができないのです。
しかし、実際の文章ではこういう単語はあまりダイレクトには出てきません。このような形容詞があればほぼ確定で良いのですが、残念ながら登場人物の心情をストレートに表現した描写はほぼないのです。
なぜなら、 心情を遠回しに表現してこそおしゃれだから。これが小説の醍醐味。作家の腕の見せ所。 だからここで登場するのが 情景描写 です。
情景描写とは、登場人物の心情が周囲の環境に投影されたもの です。
たとえば、 「バスに乗り、外を見渡すと辺りは薄暗くなっていた。バスが進むにつれ、雨が降り出し、窓に映る景色はにじんでいた。」
こういう表現を見たら、 「暗い…気持ちが暗い? 雨…泣いている? → 何か悲しんでいるのかな?」 という 思考(思考)をしなければなりません 。そして、 その根拠となる、悲しいことや泣くような事件があったのか?その事件は何なんだ?? それを探して 心情を決定する証拠集め をしていくのです。
だから皆さんは今回はこの2点を 解き方の ルール として覚えておきましょう。
①「泣く」といった動詞があってもそれは必ずしも、心情を表す根拠にはならない
②「情景描写」を理解して、意識してよ見落とさないようにして、解釈が出来るように練習をしましょう。
